使徒の働き 20章

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38節
21章
1

騒ぎが収まると、パウロは弟子たちを呼び集めて励まし、別れを告げ、マケドニアに向けて出発した。

2

そして、その地方を通り、多くのことばをもって弟子たちを励まし、ギリシアに来て、

3

そこで三か月を過ごした。そして、シリアに向けて船出しようとしていたときに、パウロに対するユダヤ人の陰謀があったため、彼はマケドニアを通って帰ることにした。

4

彼に同行していたのは、ピロの子であるベレア人ソパテロ、テサロニケ人のアリスタルコとセクンド、デルベ人のガイオ、テモテ、アジア人のティキコとトロフィモであった。

5

この人たちは先に行って、トロアスで私たちを待っていた。

6

私たちは、種なしパンの祭りの後にピリピから船出した。五日のうちに、トロアスにいる彼らのところに行き、そこで七日間滞在した。

7

週の初めの日に、私たちはパンを裂くために集まった。パウロは翌日に出発することにしていたので、人々と語り合い、夜中まで語り続けた。

8

私たちが集まっていた屋上の間には、ともしびがたくさんついていた。

9

ユテコという名の一人の青年が、窓のところに腰掛けていたが、パウロの話が長く続くので、ひどく眠気がさし、とうとう眠り込んで三階から下に落ちてしまった。抱き起こしてみると、もう死んでいた。

10

しかし、パウロは降りて行って彼の上に身をかがめ、抱きかかえて、「心配することはない。まだいのちがあります」と言った。

11

そして、また上がって行ってパンを裂いて食べ、明け方まで長く語り合って、それから出発した。

12

人々は生き返った青年を連れて帰り、ひとかたならず慰められた。

13

私たちは先に船に乗り込んで、アソスに向けて船出した。そこからパウロを船に乗せることになっていた。パウロ自身は陸路をとるつもりでいて、そのように決めていたのである。

14

こうしてパウロはアソスで私たちと落ち合い、私たちは彼を船に乗せてミティレネに行った。

15

翌日そこから船出して、キオスの沖に達し、その次の日にサモスに立ち寄り、さらにその翌日にはミレトスに着いた。

16

パウロは、アジアで時間を取られないようにと、エペソには寄らずに航海を続けることに決めていた。彼は、できれば五旬節の日にはエルサレムに着いていたいと、急いでいたのである。

17

パウロはミレトスからエペソに使いを送って、教会の長老たちを呼び寄せた。

18

彼らが集まって来たとき、パウロはこう語った。「あなたがたは、私がアジアに足を踏み入れた最初の日から、いつもどのようにあなたがたと過ごしてきたか、よくご存じです。

19

私は、ユダヤ人の陰謀によってこの身に降りかかる数々の試練の中で、謙遜の限りを尽くし、涙とともに主に仕えてきました。

20

益になることは、公衆の前でも家々でも、余すところなくあなたがたに伝え、また教えてきました。

21

ユダヤ人にもギリシア人にも、神に対する悔い改めと、私たちの主イエスに対する信仰を証ししてきたのです。

22

ご覧なさい。私は今、御霊に縛られてエルサレムに行きます。そこで私にどんなことが起こるのか、分かりません。

23

ただ、聖霊がどの町でも私に証しして言われるのは、鎖と苦しみが私を待っているということです。

24

けれども、私が自分の走るべき道のりを走り尽くし、主イエスから受けた、神の恵みの福音を証しする任務を全うできるなら、自分のいのちは少しも惜しいとは思いません。

25

今、私には分かっています。御国を宣べ伝えてあなたがたの間を巡回した私の顔を、あなたがたはだれも二度と見ることがないでしょう。

26

ですから、今日この日、あなたがたに宣言します。私は、だれの血に対しても責任がありません。

27

私は神のご計画のすべてを、余すところなくあなたがたに知らせたからです。

28

あなたがたは自分自身と群れの全体に気を配りなさい。神がご自分の血をもって買い取られた神の教会を牧させるために、聖霊はあなたがたを群れの監督にお立てになったのです。

29

私は知っています。私が去った後、狂暴な狼があなたがたの中に入り込んで来て、容赦なく群れを荒らし回ります。

30

また、あなたがた自身の中からも、いろいろと曲がったことを語って、弟子たちを自分のほうに引き込もうとする者たちが起こってくるでしょう。

31

ですから、私が三年の間、夜も昼も、涙とともにあなたがた一人ひとりを訓戒し続けてきたことを思い起こして、目を覚ましていなさい。

32

今私は、あなたがたを神とその恵みのみことばにゆだねます。みことばは、あなたがたを成長させ、聖なるものとされたすべての人々とともに、あなたがたに御国を受け継がせることができるのです。

33

私は、人の金銀や衣服を貪ったことはありません。

34

あなたがた自身が知っているとおり、私の両手は、自分の必要のためにも、ともにいる人たちのためにも働いてきました。

35

このように労苦して、弱い者を助けなければならないこと、また、主イエスご自身が『受けるよりも与えるほうが幸いである』と言われたみことばを、覚えているべきだということを、私はあらゆることを通してあなたがたに示してきたのです。」

36

こう言ってから、パウロは皆とともに、ひざまずいて祈った。

37

皆は声をあげて泣き、パウロの首を抱いて何度も口づけした。

38

「もう二度と私の顔を見ることがないでしょう」と言った彼のことばに、特に心を痛めたのである。それから、彼らはパウロを船まで見送った。