マルコによる福音書 5章

Mark 章 5
4章
5章
43節
6章
1

こうして一行は、湖の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。

2

イエスが舟から上がられるとすぐに、汚れた霊につかれた人が、墓場から出て来てイエスを迎えた。

3

この人は墓場に住みついていて、もはやだれも、鎖を使ってでも、彼を縛っておくことができなかった。

4

彼はたびたび足かせと鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせも砕いてしまい、だれにも彼を押さえることはできなかった。

5

それで、夜も昼も墓場や山で叫び続け、石で自分のからだを傷つけていたのである。

6

彼は遠くからイエスを見つけ、走って来て拝した。

7

そして大声で叫んで言った。「いと高き神の子イエスよ、私とあなたに何の関係があるのですか。神によってお願いします。私を苦しめないでください。」

8

イエスが、「汚れた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。

9

イエスが「おまえの名は何か」とお尋ねになると、彼は「私の名はレギオンです。私たちは大勢ですから」と言った。

10

そして、自分たちをこの地方から追い出さないでください、と懇願した。

11

ところで、そこの山腹では、おびただしい豚の群れが飼われていた。

12

彼らはイエスに懇願して言った。「私たちが豚に入れるように、豚の中に送ってください。」

13

イエスはそれを許された。そこで、汚れた霊どもは出て行って豚に入った。すると、二千匹ほどの豚の群れが崖を下って湖へなだれ込み、その湖でおぼれて死んだ。

14

豚を飼っていた人たちは逃げ出して、町や里でこのことを伝えた。人々は、何が起こったのかを見ようとやって来た。

15

そしてイエスのところに来ると、悪霊につかれていた人、すなわち、レギオンを宿していた人が服を着て、正気に返って座っているのを見て、恐ろしくなった。

16

見ていた人たちは、悪霊につかれていた人に起こったことや豚のことを、人々に詳しく話して聞かせた。

17

すると人々はイエスに、この地方から出て行ってほしいと懇願した。

18

イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供させてほしいとイエスに願った。

19

しかし、イエスはお許しにならず、彼にこう言われた。「あなたの家、あなたの家族のところに帰りなさい。そして、主があなたに、どんなに大きなことをしてくださったか、どんなにあわれんでくださったかを知らせなさい。」

20

それで彼は立ち去り、イエスが自分にどれほど大きなことをしてくださったかを、デカポリス地方で言い広め始めた。人々はみな驚いた。

21

イエスが再び舟で向こう岸に渡られると、大勢の群衆がみもとに集まって来た。イエスは湖のほとりにおられた。

22

すると、会堂司の一人でヤイロという人が来て、イエスを見るとその足もとにひれ伏して、

23

こう懇願した。「私の小さい娘が死にかけています。娘が救われて生きられるように、どうかおいでになって、娘の上に手を置いてやってください。」

24

そこで、イエスはヤイロと一緒に行かれた。すると大勢の群衆がイエスについて来て、イエスに押し迫った。

25

そこに、十二年の間、長血をわずらっている女の人がいた。

26

彼女は多くの医者からひどい目にあわされて、持っている物をすべて使い果たしたが、何のかいもなく、むしろもっと悪くなっていた。

27

彼女はイエスのことを聞き、群衆とともにやって来て、うしろからイエスの衣に触れた。

28

「あの方の衣にでも触れれば、私は救われる」と思っていたからである。

29

すると、すぐに血の源が乾いて、病気が癒やされたことをからだに感じた。

30

イエスも、自分のうちから力が出て行ったことにすぐ気がつき、群衆の中で振り向いて言われた。「だれがわたしの衣にさわったのですか。」

31

すると弟子たちはイエスに言った。「ご覧のとおり、群衆があなたに押し迫っています。それでも『だれがわたしにさわったのか』とおっしゃるのですか。」

32

しかし、イエスは周囲を見回して、だれがさわったのかを知ろうとされた。

33

彼女は自分の身に起こったことを知り、恐れおののきながら進み出て、イエスの前にひれ伏し、真実をすべて話した。

34

イエスは彼女に言われた。「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。苦しむことなく、健やかでいなさい。」

35

イエスがまだ話しておられるとき、会堂司の家から人々が来て言った。「お嬢さんは亡くなりました。これ以上、先生を煩わすことがあるでしょうか。」

36

イエスはその話をそばで聞き、会堂司に言われた。「恐れないで、ただ信じていなさい。」

37

イエスは、ペテロとヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、だれも自分と一緒に行くのをお許しにならなかった。

38

彼らは会堂司の家に着いた。イエスは、人々が取り乱して、大声で泣いたりわめいたりしているのを見て、

39

中に入って、彼らにこう言われた。「どうして取り乱したり、泣いたりしているのですか。その子は死んだのではありません。眠っているのです。」

40

人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスは皆を外に出し、子どもの父と母と、ご自分の供の者たちだけを連れて、その子のいるところに入って行かれた。

41

そして、子どもの手を取って言われた。「タリタ、クム。」訳すと、「少女よ、あなたに言う。起きなさい」という意味である。

42

すると、少女はすぐに起き上がり、歩き始めた。彼女は十二歳であった。それを見るや、人々は口もきけないほどに驚いた。

43

イエスは、このことをだれにも知らせないようにと厳しくお命じになり、また、少女に食べ物を与えるように言われた。